2020S 立法・行政3
2020-05-20
Zoomウェビナーの場所をITC-LMSとSlackに掲げています。
この日の予定
前半:白石から
補足・トピック紹介
行政と法・・公正取引委員会を例にとって
後半9:20頃から
鈴木健太さんをゲストに迎え、事前に寄せられた質問への回答を中心に、トーク。
質問
鈴木さんへの質問をSlackで送ってください。平常点課題ではありません。
下記の略歴を参考としてください。
5/19(火)12:30までに届けば、授業準備をしやすく、鈴木さんに事前に届けやすいです。
授業中、トークの進行中にも、質問(テキスト送信)があれば、対応できる場合があるかもしれません。
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鈴木健太さんの略歴(ご本人から提供。Scrapbox掲載許可済み。)
鈴木健太(1997年文科一類入学)
<現在の役職>
(内閣府の外局)公正取引委員会 事務総局 経済取引局 企業結合課 課長補佐
<現在の業務内容>
企業のM&Aの事前審査(YAHOO/LINEの統合,韓国の造船会社同士の統合等)
地銀・バス特例法法案審議対応
その他(制度・運用の見直しの検討,弁護士・企業・学者の先生方との意見交換等)
<過去の所属と業務内容>
平成15年4月 取引部取引企画課
ガイドラインの策定検討
音楽CD価格に関する調査等
平成16年7月 審査局第三審査
インテル私的独占事件,宇都宮談合事件等(立入検査,証拠調べ,供述聴取等)
平成17年6月 取引部景品表示監視室
不当表示事件(ダイエット食品,温泉等の不当表示調査)
平成18年7月 海外留学(2年間)
(米国)ジョージタウン大学LL.M.(ワシントンD.C.)
米国連邦取引委員会におけるインターン
平成20年7月 官房総務課
国会関係業務(独禁法改正法案の提出)
平成21年7月 経済取引局調整課
国交省及び厚労省との政策調整(航空アライアンスの独禁法適用除外,インフル予防接種スキーム構築等)
平成23年7月 審査局企画室
事件審査支援
命令書等の法的チェック(前例・判例との整合性確認等)
平成25年7月 外務省出向 日本政府EU代表部(ベルギー)
日EU協力の促進
日本企業支援(日本企業のコンプライアンス向上支援)
総理来訪対応
平成28年7月 官房国際課
各国競争当局との協力強化(国際案件への対応)
技術支援(途上国における競争法整備支援)
平成29年7月 経済取引局企業結合課
企業間の合併・買収等(M&A)の事前審査等
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筋書き
Scrapboxの文字を少し大きめにしました。
最初に、いくつかの補足・トピック
なぜ法令は論理的でなければならないか。
公平
円滑・迅速
説得力
企画・作成 → 立法・行政
解釈・運用 → 行政・司法
相互往復
法域(jurisdiction):国と地方公共団体はそれぞれ別個の存在
条例は、法律・政令・・とは、また別の系統
EUと加盟国、USと州
考える材料
なぜ日本は自粛のお願いしかできないのか――大屋雄裕さん(法哲学者)の場合〔前編〕
接触確認アプリ
接触確認アプリに関する有識者検討会合
「公衆衛生」と「個人データ」(慶應義塾大学 山本龍彦教授)
言葉
オプトイン
オプトアウト
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行政と法・・公正取引委員会を例にとって
公正取引委員会は、多くの行政官庁の一例に過ぎないが、多くの機能がコンパクトにまとまっており説明しやすい。
(白石の専門でもある。)
授業中は「こうとり」ということも多いと思います。
略して書くと「公取委」。
組織・仕事(例)
官房
どこの官庁にもある仕事
「国際協力に関する事務の総括」
経済取引局(「取引部」を含む)
「独占禁止政策に関する基本的事項の企画及び立案」
「独占禁止政策に係る関係行政機関との調整の総括」
審査局
「事件の審査」
排除措置命令・課徴金納付命令
[知識]以上のようなことは「設置法」に書いてある。
例:「財務省設置法」「経済産業省設置法」
公取委の場合は、独禁法27条以下が設置法になっている。
独禁法=「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
平成21年に消費者庁が新設されたので、公取委が所掌する事項のうち景品表示法(景表法)が消費者庁に移管された。
鈴木さんが平成17年に公取委で不当表示事件を担当したのはそのため。
鈴木さんの例で具体的に
「shiraishi.icon」は白石による補足
企画・立案・調整(経済取引局)
ガイドラインの策定検討
音楽CD価格に関する調査等
国交省及び厚労省との政策調整(航空アライアンスの独禁法適用除外,インフル予防接種スキーム構築等)
地銀・バス特例法の法案審議の対応
shiraishi.icon法案などが出ているのは内閣官房ウェブサイト
現在の業務の「その他」
「制度・運用の見直しの検討,弁護士・企業・学者の先生方との意見交換等」
法律を個別事例に適用する(審査局、経済取引局)
被疑事件の審査(審査局)
インテル私的独占事件
宇都宮談合事件
被疑事件の審査の支援(審査局企画室)
事件審査支援
命令書等の法的チェック(前例・判例との整合性確認等)
価格カルテルの合意を立証する構造の図
下記は、鈴木さんらが作成したものをもとに白石が作成した教材
https://shiraishitadashi.jp/archive/EstablishingAgreement.jpeg
企業結合計画の事前審査(経済取引局企業結合課)
例:YAHOO/LINEの統合,韓国の造船会社同士の統合等
Q:企業が合併・経営統合する際には、公正取引委員会が自らそれを察知して独禁法に違反しないかどうか監視するのでしょうか?それとも企業側が報告しなければならないのでしょうか?
shiraishi.icon規模の大きな企業結合計画に届出義務。例えば独禁法10条2項。
https://gyazo.com/d4f3eb8d39aa83733715c1061524295c
shiraishi.icon「なぜ韓国の」という質問が複数。この論点については、ブラウン管事件という最高裁判決を6月に読む予定。一言でいうと、日本に所在する需要者(買い手)に影響(統合により船の価格が高くなりそう)があれば日本の独禁法を適用できる。
shiraishi.icon個別事例を話題にすることについて
shiraishi.icon「法的三段論法」
一般論を
個別事例で認定した事実に
当てはめる
https://gyazo.com/c8b7b77294baf252121406a9c586b7f6
官房
国会関係業務(独禁法改正法案の提出)
shiraishi.icon内容の立案は経済取引局
日本政府EU代表部(ベルギー)(shiraishi.icon便宜上ここで)
日EU協力の促進
日本企業支援(日本企業のコンプライアンス向上支援)
総理来訪対応
shiraishi.icon競争法におけるEUの重要性
国際課
各国競争当局との協力強化(国際案件への対応)
技術支援(途上国における競争法整備支援)
海外留学
ジョージタウン大学LL.M.(ワシントンD.C.)
米国連邦取引委員会におけるインターン
お知らせ
次回の予習資料
Q
景表法が公取委から消費者庁に移管されたとありますが、法律の管轄を決めている機関のようなものがあるのでしょうか?
先刻の独占禁止法10条2項には規制の詳しい基準について政令で定めるとなっておりましたが、この基準を行政の側が変更するか否かも焦点化し得ると思うのですが、ある企業や個人を優遇する(と見える)こうした行政の動きは規制できないのでしょうか?
9:20
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鈴木健太さんへの質問
(取り敢えず、事前に届いたもののなかから抽出・整理)
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具体的な業務に関すること
海外留学・海外勤務・国際業務が多い
国際情勢への関心を強くお持ちなのでしょうか。
日本政府EU代表部(外務省出向)
日本政府EU代表部での仕事は、公正取引委員会の独占禁止法の仕事と実際に関連性はあるものだったのでしょうか?
途上国における競争法整備支援
具体的にはどのような支援をしているのでしょうか。その際には、どの国の法を基盤にするのでしょうか。依頼は相手国から来るのですか。具体的にはどの国に対して支援をしているのでしょうか。
取引の決まりは国によって変わると思いますが、その勉強はどのようになさるのですか。
官房国際課その他
官房国際課のところに「国際案件への対応」とありましたが、この内容を詳しく教えてください。
国際的な個別事例を扱っている部署を外国の競争当局に繋ぐ
繋ぐ作業がスムーズにいくよう、普段から外国競争当局と付き合い、MOUを結ぶなどする。
個別事例への法律の適用
複数の企業が協力して入札談合をした場合、事態の経過のデータや、結果がどうなるかの予測は企業側に独占的に握られてしまうと思います。企業側がデータを隠蔽したり、改ざんしたり、専門家を雇って理論武装したりして対抗した場合、当局はどのように対応しているのでしょうか。
デジタル・フォレンジック
独占事件(インテル?)の調査について詳細な内容をお聞きしたいです。
ライバルはAMD
shiraishi.icon(韓国企業の統合への日本独禁法の適用については本日前半に説明。)
法案提出・法案審議
法案提出の際、官僚は議員や利益団体との調整にどの程度関わるのでしょうか。
法令協議(各省協議)
新たな法改正等の立案をしたいと思った時、勝手に企画立案をするわけにはいかないでしょう。どういう手筈(誰)によって企画立案を始めることができるのでしょうか。上司なのでしょうか、政治家の承認なのでしょうか。
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学生時代のこと、官庁一般や留学に関すること
学生時代のこと
大学時代に学んでおくべきことを教えてください。
教養学部で学んだことで、大学以降の鈴木さんの仕事において意外と役立った、みたいな講義ってありましたか?
法1は労働法の菅野和夫先生
公正取引委員会に入ったきっかけ
公正取引委員会で働きたいと思われたきっかけは何ですか?文科一類・法学部ご出身とのことですが、学生時代から競争法に興味があったのでしょうか?
官僚という仕事をする上で、やはり司法試験に合格していることはアドバンテージになりますか。官僚を目指すか弁護士を目指すかを迷っています。
海外留学
就職されたあと,キャリアの途中で海外へ留学されることは一般的なのでしょうか。また学生時代ではなく社会人として留学されたご感想を伺いたいです。
社会人になってからの留学は一般的にあるものなのでしょうか、それとも珍しいのでしょうか。官僚のうちどのくらいが経験することなのでしょうか。
平成18年7月から留学を決めたのは何故ですか。正直、平成17年6月の取引部景品表示監視室までの経歴でも十分すごいと思います。なので、留学をせずともそれから先に大きな仕事を受けることはあると思いました。さらなるスキルアップを目指すために留学をなさったということでしょうか。
LLM留学におけるGPAの大切さやいわゆる「上位」のLLMに入れるGPAの目安を伺いたいです。
外国語
ジョージタウン大学への留学にさいして、語学面での難しさはありましたか。ぼんやりと将来的に留学を考えている身としては、とても気になります。
英語の面で専門用語などは現地の方についていけるものなのでしょうか。将来海外でも弁護士資格を取りたいと思っており、苦手な英語を克服するため英会話を始めたのですが、何をするべきかアドバイスをいただけたら嬉しいです。
外務省以外の国家公務員が英語もしくは他の外国語を話せることは、以下の3つのうちどれでしょうか。
(1)仕事をする上で絶対に必要である
(2)必須ではないが、出世などのなんらかのメリットがある。
(3)話せなくても何の問題もない
連邦取引委員会(FTC)インターン
アメリカの連邦取引委員会でインターンをされたとのことですが、日本の公正取引委員会との違いはどのような点に感じましたか。
日本:大部屋主義
海外留学まとめ
2年間の海外留学とインターンはその後の仕事でどう生かされたと思われますか。
留学、インターンの後、そのまま米国に残るという選択肢は考えられましたか。
人事異動
平成29年以降は経済取引局企業結合課のままですが、それまで異動が多かったにも関わらず安定的になったのは、ポストに就いたからという理由もあるのでしょうか?
次にどこに異動するかは、誰が決めているのでしょうか。(「そもそもお仕事の依頼はどちらからくるのでしょうか。」)
霞が関の労働環境
労働環境の実態はどうなっているのでしょうか。残業、休日、長期休暇の有無など知りたいです。
そのような状況は、今後、変わっていきそうでしょうか。
追加質問
白石先生が初回に配布された資料の中に、博士号を持つエコノミストが多く在籍する競争当局として米国とEUが挙げられていたと思うのですが、日本の公取には少ないのでしょうか?もしそうだとすれば、その違いは法律の違いによるものなのでしょうか?それとも、現実的な妥協(予算面など)の問題なのでしょうか?
その他(一般的な質問なので時間が余った場合に)
どのような場合に不当表示といえるか。
現在の企業間競争の状況について。
GAFAなどの巨大IT企業の影響力拡大について。